オタの旅々 ~THE JOURNEY OF RICO~

「どこ行くの?...少し遠くまで」。タイトル通り、アニメにインスパイアされただけ。どこかに出掛けた記録を粛々と、たまに偉そうに書きます。脳内で灰の魔女様のように読み上げて頂ければ本望です。

2016年8月27日 青春18きっぷで西へ(2)初めての九州とサンライズ瀬戸・出雲号

一夜明けて小倉。金沢-小倉の鈍行移動の疲れがまとめて出たからか、少しゆったりした朝を迎えました。

身支度を調えていざ18きっぷ2日目を使用開始。この日はまず福岡県が県庁所在地・博多へ向かいました。

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もともと低かった写真の質がさらに格段に下がったのは、当時のスマートフォンでの撮影だからです。

列車にもよりますが、小倉から博多まで各駅停車で1時間半程度、快速で1時間ちょっと。いかにもJR九州な色味の列車に乗っていきます。

金沢から営業キロにして907km、初めて降り立った博多は、それでいて遠い場所という実感は全くありませんでした。強いて言えば、見かける車両が見慣れたものとは全く違うということぐらい。

当然と言えば当然ながら、そこではいつも通りの博多駅としての光景が、私たちを出迎えます。唯一非現実感を醸し出していたのは、ホームで発車の時を待つ「ななつ星 in 九州」の豪華絢爛な客車くらいでしょうか。

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九州、あるいは博多もこの3年ほど後に再訪しますが、今のところ在来線ホームに入ったのはこの一度きりとなっています。

さて、今回の終着点は博多ということで、ここから折り返しです。友人は各地の音ゲー筐体をプレイすると称号だか何かをもらえるということで、ゲームセンターに。私単独で明太子なり博多ラーメン・長浜ラーメンなりを食べてくれば良かったのですが、駅周辺をブラブラ探索していたらすっかり忘れていました。

この先は岡山まで引き返し、友人は知り合いに会いに四国方面へ、私はせっかくだからと岡山から予約した、サンライズ瀬戸号で東京へ向かうことになっています。

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昨晩は真っ暗な中で発着した門司駅。この駅を出ると九州とはお別れ。

門司から先、本州方面と門司港方面で分岐しますが、実は2020年現在でも門司-門司港は乗車していません。友人が音ゲー詰めになっているうちに先回りして、あとから門司で合流すれば良かったですね。ちょっとだけ後悔しています。

黄色い電車のエリアに戻ってきました。ここから先は、再びクロスシートに揺られて東に進みます。

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山陽地区の115系は個性豊かで、中には117系のような扉と座席配置の番台もあります。なんでも国鉄時代に、「ひろしまシティ電車」なる輸送改善計画に基づいて、競合する交通機関への対抗、観光移動を前提として、快速列車向けに設計された車両なんだとか。

この車両の転換クロスシートはリニューアル工事等で取り付けられたものではなく、編成が登場した当時からだったんですね。転換クロスシート自体最近のものだと勝手に思っていました。

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水平もなにもあったものではないですが、夕方の日に照らされる瀬戸内の景色。

ここで私たちは大慌てで時刻表を捲っていました。私の記憶が正しければ、何気なく見た運転日表記が、乗り継ぐ計画になっていた列車がその日は運転されないことを示していたのです。

これにはサンライズ瀬戸号を予約している私はもちろん、友人も蒼白で解決法を探りました。予約列車の有無に関わらず、長距離の乗り継ぎで計画が狂うというのは、マージンを取っていても冷や汗ものです。

ただ、この緊張は杞憂に終わりました。時刻表の「土休日運休」「休日運休」(もしくは土休日運転/休日運転)を解釈し違えていた、あるいは見間違えていただけで、土曜日であるこの日は運転日だったのでした。

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黄、黄、とにかく黄色。どこの駅だったかは忘れました。

緊張は、緊張が緩んだ瞬間の安心感を増幅させるためにある、ということをどこかで見聞きしましたが、やはり心臓に悪いことだけは何度体験しても確かです。ともかく私たちは、それまで以上の安心感を胸に、22時頃には岡山へ辿り着いていました。

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岡山駅の接近メロディである「線路は続くよどこまでも」が流れる中、7両編成のサンライズ瀬戸号が堂々入線してきます。

そういえばこの曲、原題はI've Been Working on the Railroadで、現代の日本語歌詞として有名な明るい列車旅の内容とはかけ離れた、アイルランドの線路作業員の民謡ですね。初めて歌詞を読んだときは私の訳し間違いかと思いました。

調べてみると日本でも、当初は原曲に忠実な「線路の仕事」という曲名で輸入されていたようです。のちにNHKみんなのうたで現在の邦題・歌詞として放映されてからは、今の形が定着したとのこと。

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引き続き岡山に到着する出雲号との連結準備に入ります。連結シーンをのんびり眺めてから乗車できるのは、瀬戸号もしくは岡山乗車の特権かもしれません。

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もう一度「線路は続くよどこまでも」が流れ出すと、いよいよ連結相手の到着。ゆっくりと車両同士が近付いていき、甲高い金属音とともに連結作業終了。車両間に幌が掛けられている光景を尻目に、私も友人に別れを告げます。友人とはここでお別れ、18きっぷの効力ともお別れです。

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2日間をともにした友人と別れる寂しさを胸に、サンライズ瀬戸号に乗り込みます。

サンライズ号の個室寝台にはいくつか種類があり、さらに寝台料金不要(特急料金のみ)なのびのびシートなどもありますが、今回は1人向けとして無難なシングルを選択しました。

個室寝台はそこまで広くないという話を聞いていたので少し心配でしたが、実際には中腰で移動できる程度の高さがあります。寝台から降りれば、完全に立つことも可能です(立っていてはとても身体は休まらないですが)。

サンライズ号といえばシャワー、というよく分からない期待に胸を膨らませてシャワーカードの販売機を探しましたが、残念ながら完売でした。運良く携帯していたボディペーパーで身体を拭きます。

ちなみにこの3年後にまたサンライズ瀬戸号を四国発着で利用するのですが、経験上、上りは坂出乗車までであればシャワーカードを入手できる可能性が高そうです。下りは瀬戸・出雲とも東京駅からシャワーカード争奪戦でした。

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寝ている間に移動できるというのはありがたいことです。目が覚めると列車は、18きっぷ旅の鬼門である静岡県縦断の後半部分に差し掛かっていました。あらゆるオタクがお尻の痛さと戦って通過する路線を、(決して快適とは言えませんが)寝台で寝ている間に半分以上クリアできたのですから、寝台券の効力は偉大です。

サンライズという列車名なので、眠い目を擦りながらラウンジで日の出を待っていましたが、残念ながらあいにくの空模様は、私にライジングサンを見せてはくれませんでした。そればかりかコトコトという心地よいジョイント音と、窓の外を高速で流れる景色が、まだ寝足りない私の頭を眠りへと誘おうとしました。

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静岡県を抜け、神奈川県に入ると東京まであっという間です。若干遅延していましたが、日曜日の早朝ということもあって、大きな増延にもならず、東京駅の東海道線ホームに到着。こうして、金沢~博多~東京の延べ2000km超にわたる鉄道旅は、ここに終わりを告げました。

新幹線が整備され、移動スピードが重要視されてくる現代ですが、鈍行を乗り継いでも遠いところまで行くことはできる。鉄道は文字通り日本全国を結んでいる。18きっぷの旅が教えてくれるのは、そういうことなのかもしれません。